East Asia Youth Airgun Competition 2018 – [レポート1]
◆金沢辰巳丘高校 田村達先生◆
昨年に続きコーチとして帯同
【気候】
東南アジアと言うこともあり、「日本より暑い」というイメージがあった。実際に現地に到着したときは蒸し暑い感じがし、朝になっても蒸し暑さは変わらなかった。ところが昼夜の寒暖差がほとんど無いこともあって身体への影響も少なく過ごしやすかった。一方でホテルの中はエアコンが効いており寒いくらいであった。
【競技会場・運営】
SAFRAというスポーツ施設の中に射撃場があり、アスコー社製電子標的が33的、隣に10的の紙標的、別部屋にも10的の紙標的が設置されていた。
エアコンも完備されており(寒いくらい)、選手にとっては撃ちやすい環境であった。
またシリンダーの充填場所がいくつもあり、各メーカーに対応できるように初めからアダプターに取り付けられていた。
今回はシンガポール協会の会長の提案で若い役員による競技運営が行われた。主任ジュリーが30代、RTSジュリー並びに射場ジュリーが25歳、その他の役員も20代30代で構成されていた。
不安な感じもあったが、国際経験も豊富な人たちが多く、皆堂々たる運営ぶりであった。
構成としては主にSAFRAで普段からジュニアの指導にあたっている人たちが多く、役員としての自覚と責務を完璧にこなしていた。
【レセプション】
これまでのレセプションは会長の挨拶や選手紹介・選手宣誓などがあったのだが、今回はシンガポールでの開催が初めてということでなれていないのか、それとも若手が運営したために打ち合わせや段取りができていなかったのか不明だが、会長の挨拶のみで選手紹介などが一切なかった。
ただ、その分選手達同士のコミュニケーションをとる時間が多くなったことでスマホや身振り手振りを通して親睦を深めていた。
【装備】
ライフルについては韓国・シンガポールともに圧倒的にバウが多かった(シンガポールでは一番安く買える銃がバウでアンシュッツなどはバウの倍の値段がするそうである。)。
韓国選手のグリップは大きく削られており、より身体の重心に近づけるような工夫がなされていた。
ピストルはモリーニとステイヤーが半々。
ジャケット・ズボンについては昨年はベガを着用している韓国選手がいたが、今年は韓国選手全員がマークスマンであった。
【競技環境】
韓国・シンガポールともに射撃をするための学校(体育学校)に所属しており、射撃のトレーニング、筋力のトレーニングの練習量が日本とは比較にならないくらいに多い。
撃ち込みの量が関係しているのかは不明だが韓国・シンガポールは早撃ちが多い。ライフル女子団体を例に見てみるとシンガポールで一番早く終わった選手は60発を36分で撃ち終え624.6点、韓国は40分で624.0点。一方で日本は45分で613.0点。
一概に早撃ちが良いとは言えないが、日本選手は明らかに本射になったとたんに慎重になっている感じがした。試射ではリズムよく射撃をしていたにもかかわらず、本射が始まってすぐに撃たずに構え直す日本選手が多く見られた。結果として緊張し意識が入り、引き遅れが目立った。女子の1シリーズの平均を見てみても韓国は103.9点、シンガポールは103.4点、日本は101.9点。
緊張することは決して悪いことではないが、明らかに試射と本射を区別し、点数を意識している日本選手が目立った。点数はあくまで結果、初めから点数を意識しては良い射撃ができない。
ファイナルも同様で日本選手が最初の5発でトップの成績を出し、アナウンスで紹介されたとたん、次の5発は点を意識し撃ち遅れ順位を落とす。普段から10.9点狙う射撃、10.9点を撃てる姿勢、10.9点が当たり前だとする意識の確立が大切である。
(シンガポールの女子選手↑は6シリーズ目で107.0点をたたき出していた。)
【最後に】
この記事をきっかけに全国の選手が世界を意識し練習し、将来は日本代表として活躍してもらえれば思います。
(次号は「選手たちのレポート」)